若者が会社を辞める理由はSNS・インフルエンサーによるやりがい追求主義の影響か

仕事の話
ruby
ruby

ここ数年、会社を辞める若い人が本当に増えてきたなーと思います。

ちょうど今は年度末ということもあるのか、この1〜2ヶ月の間に、3名もの若手が辞めるという話を聞きました。

彼らに辞める理由を尋ねてみると、「仕事が辛い」・「残業が嫌」などではなく、年収アップを狙いたいとかでもなく、

仕事にやりがいを感じないし、会社に将来性を感じません。

って感じの人が大半です。

純粋に業務や組織に対して失望している若者が多いですね。

これも時代だよなーと思いつつも、実はこの傾向、昔から変わっていないんですよね。

実は就職3年以内で退職する割合はこの30年間変わっていないという事実

以下のグラフは厚生労働省が公表している新卒3年以内の離職率を示したものです。

新規学卒就職者の離職状況(厚生労働省)

ruby
ruby

あれ?30年前からほとんど変わってないね。

僕の業界(サービス業)の事務職では明らかに20年前よりも若年層の退職者が増えているという実感がありますが、社会全体で見ると実は離職率は殆ど変わっていないんですね。

僕は今の会社に入って19年経ちますが、辞めようと思ったことは確かに何度かありました。僕の場合は年収アップが目的でしたけど。

20年前は今と比べて働き方の選択肢がケタ違いに少なかったというか、そういった転職に関する情報が現在ほど出回っていませんでしたし、転職すること自体が肯定的に捉えられていませんでしたからね。

ちなみに、令和3年に多かった退職理由としては「仕事の内容に興味が持てなかった」「会社の将来に不安」「給料が低い」「労働時間・休日等の労働条件が悪い」が上位を占めています(厚生労働省調べ)。

また、20代前半までに限定すると人間関係の悪さを理由に退職している若手も多いようですね。

やりがい第一主義はSNSやインフルエンサーの影響か?

うちの若手が仕事にやりがいを求める気持ちはわかるんですよね。

ウチはある程度規模の大きな会社なので、業務は細分化されていて、部署によっては非クリエイティブな作業を一年中やらなきゃならないです。

今回辞めたいと言ってる若手社員は非クリエイティブ部門(要は単純労務多めのくせに残業多い)に所属している割合が高かったので、You Tubeの自己啓発動画やSNSでのポジショントーク、インフルエンサーの書籍とかに触れる機会が多い人なら、「今のままじゃ行けない!もっと挑戦しないと!」と思ってしまうかもしれません。

サラリーマンとして働く以上、自分の思うような仕事にありつけることはそうそう無いものですが、現実としてやりがいや成長を求めて退職する若手社員が多いわけですから、今後企業はそういった点を考慮した人材育成を目指さなければ、いくら新人を採用しても穴の空いたバケツに水を注いでいるようなものです。

仕事にやりがいを求めるリスク

仕事のやりがいを持つって、一見素晴らしいことに思えるんですが、サラリーマンの場合は危険な落とし穴があると思っています。

そのあたりは過去に自分のエピソードを交えて記事にしてます。

仕事(サラリーマン)に生きがいを求めると逆に追い込まれるぞ
10年前の自分が見たら絶対クリックしないようなタイトルを付けてみた。 仕事って言ってもここでいう仕事はサラリーマン、つまりは勤め人での話であって自営で好きなことで生きていく!って人はもちろん別ですぞ。 サラリーマン業ガチ勢からす...

誤解されたら困るので補足すると、仕事をテキトーにやって、早く帰ろうって言ってるわけではないです。

仕事は重要な国民の義務であって、社員が世の中の役に立つ(商品を売ることで顧客の満足度を上げるなど)ことで売上につながって、それが賃金につながるわけですから、仕事はきちんとこなさなければならないです。

でも仕事に生きがい・やりがいを見い出せなかった時に、自分に何も残らない(と思い込んでしまう)可能性があって、その時に適切な対処ができればいいですが、生きる意味を見失って最悪な選択を取ってしまう危険性もあるのでは?と思います。

やりがいの追求は人生を豊かにしてくれるものである一方、間違った方向に進んでしまうと心が病んでしまう諸刃の剣ではないかと僕は考えています。

ワークアズライフは自営業者・フリーランスまたは強い裁量権をもった一部の勤め人の話

何年か前に、落合陽一さんという方が「ワークアズライフ」という考え方を提唱しました。

「仕事と生活を区別せず、睡眠以外のすべての時間は仕事であり趣味である」

この考え方は、フリーランスを始め、自身に強い裁量権がある場合には有効だと思います。というか自営業でこの考え方を持てない人はそもそもやっていけないでしょう。

一方、サラリーマンにとっては、ワーク・アズ・ライフは先程触れた「仕事を生きがいにする危険性」をはらんでいると僕は考えています。

本能的な生きがい(趣味など)を持たない場合に、人は仕事に生きがいを求めてしまいがちです。他から与えられたミッションを自分の生きがいだと勘違いしちゃうパターンです。

本質的なことは有名なヒトデさんが書いてくれてますね。

僕にとっての仕事は、あくまで生きるための、お金を得るための手段でしかありませんでした

仕事の中にやりがいだったり、喜びがあるというのはわかります。僕もそれは感じた事がありますし、仕事を通じて達成感だったり、満足感を感じる事もあります

でも、それはあくまで「やらないといけない事」の中でそう思っているだけ

間違っても自分から「やりたい!」と思うような事ではありませんでした

 今日はヒトデ祭りだぞ!より

結論:結局、どうすることもできない

身も蓋もない結論ですが、若者がやりがいや将来性を理由に仕事を辞めると言い出したら、止める方法はないと思います。

給料の低さや、パワハラなどが原因であれば対策のしようがあります。

でも、彼らが求めているものが「生きがい・やりがい」や「クリエイティブな仕事」であるならば、それを叶えてくれる企業に所属する以外、方法はありません。

とはいえ、一般的な日本企業で入社後すぐに一定の裁量権をもたせて好きにやらせてくれる会社なんてそうそう無いでしょう。

身も蓋もない結論になりますが、SNSやYou Tubeなどによって、綺羅びやかな世界への羨望がやりがい追求主義を生み出し、普通の仕事に満足感を覚えることがなくなったことが、昨今の若者の退職理由の一つになっていると僕は考えています。

ruby
ruby

なんか暗い話というか、追求しても仕方がないことを記事にしてしまった気がします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました