Google純正のスマートフォン、Pixel 7aのカメラを徹底テストしました。
総評としては、ポートレートモードにおける複数人数時の顔認識の制御を除けば総じて非常にレベルの高いカメラに仕上がっている印象です。
それでは個別に見ていきましょう。
Pixel 7aの基本スペック
機種 | Google Pixel 7a | |
発売時期 | 2023年5月 | |
(標準広角) | 画角 | 26mm |
画素数 | 6,400万画素 | |
F値 | F1.89 | |
センサーサイズ | 1/1.73型 | |
画素ピッチ | 0.8μm | |
備考 | 0 | |
超広角 | 画角 | 12mm |
画素数 | 1,300万画素 | |
F値 | F2.2 | |
センサーサイズ | 1/2.9型? | |
画素ピッチ | 1.12μm | |
望遠 | 画角 | – |
画素数 | – | |
F値 | – | |
センサーサイズ | – | |
画素ピッチ | – | |
インカメラ | 画角 | 20mm |
画素数 | 1,300万画素 | |
F値 | F2.2 | |
センサーサイズ | 情報求む | |
画素ピッチ | 1.12μm |
機種名/機能 | Google Pixel 7a |
保存アスペクト比 | 4:3、16:9 |
タイマー | 3秒、10秒 |
マニュアル撮影 | △(露出・ホワイトバランス・シャドウ調整のみ) |
スローモーション | ○(広角レンズのみ) |
タイムラプス | ○(すべてのレンズ) |
ポートレートモード | ○(広角カメラ使用時のみ) |
パノラマ撮影 | ○(広角レンズのみ) |
ナイトモード | ○(すべてのレンズ) |
顔認識AF | ○ |
追尾オートフォーカス | ○ |
スマイルシャッター | × |
タッチシャッター | × |
トップショット(バースト撮影) | ○(すべてのレンズ) |
フラッシュ | ○ |
360度写真 | ○ |
RAW撮影 | ○ |
その他 |
テストチャート上の解像度
広角
超広角
望遠(デジタル超解像2倍)
写真の解像度については、テストチャートの上でも小さな文字が十分読み取れ、優秀な部類に入ります。
同時期にテストしたGalaxy S23 Ultraには劣るものの、iPhone13 Proとは同レベルの解像力を持っており、まず不満はないレベルかと思います。
色の再現性についてもしっかりと認識できており、余計な補正等は加えられていません。
いたずらに強く補正がかかる機種では、似たような色は全部同じ色として勝手に補正されてしまう中、Pixel 7aのAIはある程度の信用ができます。
暗所画質
Pixel 7aの暗所画質はかなり良いです。
ナイトモードOFF時の露出は、Galaxy S23 UltraやiPhone13 Proと比べるとやや暗め(というか現実に近い)ですが、ノイズも少なく、しっかりと描写されています。
ナイトモードをONにした際も、単に明るく写し出すわけではなく、ディテール、色乗りもしっかりと維持しています。
総合的にかなり夜間撮影での画質は優秀です。
日中屋外での画質(ズーム倍率別)
日中の写真は言うまでもなくメチャメチャ綺麗です。
Pixel 7aはメイン(広角)のセンサーサイズが1/1.7型とここ2〜3年のハイエンド端末と比べると決して大きいセンサーではないのですが、3倍ズームくらいまでは最新のGalaxy S23 Ultraと比べても全く遜色がないどころか、むしろ上回っているとすら感じます。
GoogleのスマートフォンはAIの補正が極めて優秀と言われていますが、まさにそのとおりだと思いますね。
Pixel 7aは望遠レンズが搭載されていないため、最大ズーム倍率の8倍は、1倍撮影の超引き伸ばし写真ということになりますが、画質劣化は小さく、普段から写真を撮影している人でなければ気づかないレベルです。
夜間屋外での画質(ズーム倍率別)
夜間画質については、超広角から最大ズームの8倍までいずれも非常に綺麗に写ります。
ただ、AI補正が掛かっている部分は綺麗に補正される一方、補正されない部分は引き伸ばしによる画質劣化がもろに出るため、デジタルズームの実用性は限定的です。
露出の制御についても、超広角と広角で統一性がありますし、白飛び、黒つぶれも少なく、非常に安定した画質と言えます。また、ホワイトバランスもレンズ間でズレがありません。
最短撮影距離とマクロ撮影の画質
最短撮影距離 | 広角 | 10cm |
超広角 | AF非搭載 | |
望遠 | – | |
超望遠 | – |
Pixel 7aは広角レンズの最短撮影距離が10cmと大きめのセンサーを搭載している端末としては、かなり接写能力に長けています。
一方で超広角レンズにオートフォーカスが搭載されていないため、被写体に対して超至近距離で撮影した場合ピントが合いません。
ただ、Pixel 7aの場合広角レンズのデジタルズームの画質が非常に優秀であるため、撮影倍率自体は超広角に頼らずとも、デジタル3倍ズームで撮影すれば事足りるので、大きな問題になることはないと思います。
被写体との距離が10cm以上確保できないようなシーンを除いて、接写能力は極めて高いと言えます。
また、接写時の画質についても、デジタル5倍まではほとんど劣化を感じることはないと思います。
シングルAF(顔認識)速度(明るい場所)
顔認識によるオートフォーカス速度はまずまずの速さです。
被写体が高速移動している最中は顔を認識できないため、被写体が止まってからの顔認識を始めるため、フォーカスがワンテンポ遅れるような印象を受けます。
とはいっても、必要十分な速さは備えているので、実用上問題となることは殆どないと思います。
ちなみに、Pixel6 Pro、Pixel 5ともに似たようなフォーカス挙動を見せていることから、Pixelのフォーカス機構はここ数年変わっていないのかもしれません。
フォーカス精度については、文句のつけようがない100発100中のジャスピン率でした。
いか、連続撮影したときの作例を貼り付けておきます。
シングルAF(顔認識)速度(暗所)
0.09ルクスという極めて暗い環境下ですが、Pixel 7aは多少時間がかかるものの、顔認識はしっかり動作します。
同時期にテストしたGalaxy S23 UltraやiPhone13 Proと比べても明らかに安定性が高く、暗所でのオートフォーカスは2023年7月時点でトップクラスなのは間違いありません。
また、フォーカス精度についてもすべてのショットでピントが合っています。暗所撮影が多い方であれば間違いなくおすすめできる一台ですね。
シングルAF(物体認識)速度(明るい場所)
シングルAFでの物体認識AFは文句なく高速です。
20万円するGalaxy S23 Ultraにはわずかに劣りますが、iPhone13 Proとは同等の性能を誇ります。
顔認識AFと同様に、被写体が高速で動いている最中はAFが追従しませんが、被写体が止まり次第迷わず一発でピント合わせができていますね。
シングルAF(物体認識)速度(暗所)
Pixel 7aはとにかく暗所に強いです。ピントの抜けもありません。
顔認識AFに引き続き、物体認識AFでも堂々のトップです。暗所に関してはGalaxy S23 Ultraよりも確実に性能は上です。
さまざまな機種でテストしましたが、ピクセルシリーズは7aに限らず3年前に発売したPixel 5ですらiPhone13 Proよりも暗所AFに関して上回っているなど、Googleはカメラに非常に力を入れているのがよくわかります。
動体オートフォーカス性能
動く被写体へのオートーフォーカスの追従性能はめちゃくちゃ高いです。
動体へのAF追従性は、他のブロガーやYouTuberでも同様の評価をされていますが、本当です。
ピント精度に関しては、同時期にテストした他の機種を圧倒するレベルにあり、ほぼ100%ジャスピンという脅威の結果となりました。
高速動体(シャッターボタン連打)
低速動体(シャッターボタン連打)
高速動体(シングルAF)
低速動体(シングルAF)
背景ボケ(ポートレートモード)
全体的にレベルの高いPixel 7aですが、唯一安定感に欠けるのがポートレートモードでした。
↑に貼り付けた8枚の写真は、
1枚目:単独ショット
2〜4枚目:手前→真ん中→奥の順番にフォーカスする被写体を変えて撮影
5、6枚目:手前→奥の順番にフォーカスする被写体を変えて撮影
7、8枚目:手前→奥の順番にフォーカスする被写体を変えて撮影
といった具合に撮影したのですが、撮影後のボケ処理の際、なぜかフォーカスを合わせた被写体とは異なる被写体をメインの被写体としてボケ処理するため、結果的にすべての被写体からピントがズレてしまうこともありました。
奥の被写体をメインに背景ボケ機能を使うことは実用上はないと思いますが、他の機種(ピクセルシリーズ除く)ではこういったことは起きないため、やや残念な点になりますね。
手ぶれ補正
Pixel 7aの手ぶれ補正はかなり強力です。
フレーミング時点では手ブレは補正されていないため、光学式ではなく、センサーシフト式またはデジタル式を採用していると思われます。
これだけ揺らした中で撮影しても、出力される写真はほぼブレがありません。
美肌補正
Pixel 7a (5.43mm, f/1.9, 1/25 sec, ISO116)
Pixel 7aは肌をハイトーン気味に白く飛ばすような処理はせず、色乗りの良さを重視した写りとなっています。
様々なスマートフォンで肌の補正具合については比較しているので、そちらを参照ください。
動画におけるオートフォーカス追従性
静止画におけるオートフォーカスの精度そのままに、動画においてもしっかりとAFが追従してくれます。
このテストは広角レンズを用いて、近距離撮影を行っているため、比較的ピンズレを起こしやすい状況にも関わらずこの結果は、素晴らしいの一言です。
高速追従性
低速追従性
夜間の動画撮影における明るさ・手ぶれ補正・オートフォーカス比較
大した参考にはならないかと思いますが、かなり暗い場所での動画性能についてテストしました。
肉眼ではほぼ真っ暗に近い状況でしたが、Pixel 7aはやや明るく描写するセッティングのようです。
一部強めの光源が撮影範囲に入ってきますが、極端な白飛び、黒つぶれなく、全体的にバランスの良い写りだと思います。
手ぶれ補正はまぁ普通ですね。オートフォーカスは特に迷うこともなく、問題なく撮影できます。
メニュー画面
Pixel 7aの作例
Pixel 7a (5.43mm, f/1.9, 1/1050 sec, ISO43)
Pixel 7a (5.43mm, f/1.9, 1/1700 sec, ISO43)
Pixel 7a (5.43mm, f/1.9, 1/3000 sec, ISO42)
Pixel 7a (5.43mm, f/1.9, 1/18000 sec, ISO48)
Pixel 7a (5.43mm, f/1.9, 1/1900 sec, ISO42)
まとめ
6万円前後で購入できるスマートフォンにもかかわらず、カメラ性能はiPhone13 ProやGalaxy S23 Ultraとほぼ互角と、価格から考えると非常に優れた機種といえます。
カメラ性能においては目立った欠点がありません。ミドル価格帯のスマホは、昼間の風景写真は綺麗に撮れても、オートフォーカスが弱いとか、夜景に弱いとか、そういった弱点があるものですが、Pixel 7aにはそれがありません。
望遠レンズが搭載されていないため、ハイエンドクラスの端末と比べるとその分の汎用性は落ちますが、普段遣いの範囲であれば全く遜色がなく、間違いなく「買い」です。
SoCもミドルハイクラスの性能を持っているため、日常の動作は超サクサク、ゲームも大体のタイトルは快適にプレイできる。
カメラ性能的には広角と超広角の2眼カメラという点において、ライバルはiPhone14(無印)ですね。あちらは10万円超えですが、こちらは6万円。
改めて、コストパフォーマンスに優れた一台と言えそうです。
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