物撮りを行う際、非常に重要なのが最短撮影距離です。
近寄った際にピントが合わないというのは、大きなストレスになるため、最短撮影距離は短ければ短いほど使い勝手は良くなります。
一方で、近距離撮影は近づければいいってものではなく、きちんとした画質が確保されているのが大前提になります。
今回のテストでは、鬼滅の刃「宇髄天元」のフィギュアを撮影し、近距離撮影時における最短撮影距離及び画質を調査しました。
比較
iPhone13 Proの評価を基準(7点)とした場合の、各スマホの評価点は以下のとおりです。
機種名 | 発売時期 | 順位 | 広角 | 超広角 | 望遠 | 超望遠 | 評点 | 備考 |
iPhoneXR | 2018年10月 | 5 | 8.5cm | – | – | – | 7 | |
iPhone13 Pro | 2021年9月 | 5 | 15cm | 2cm | 50cm | 7 | ||
Google Pixel 7a | 2023年5月 | 2 | 10cm | AF非搭載 | – | – | 8.5 | |
Samsung Galaxy S23 Ultra | 2023年4月 | 2 | 8cm | 2cm | 20cm | 42cm | 8.5 | |
SHARP AQUOS R6 | 2021年6月 | 9 | – | 17cm | – | – | 6 | |
Pixel6 Pro | 2021年10月 | 1 | 10cm | AF非搭載 | 85cm | – | 9 | |
Google Pixel 5 | 2020年10月 | 4 | 9cm | AF非搭載 | – | – | 8 | |
SONY Xperia 1 | 2019年6月 | 9 | 9cm | AF非搭載 | 29cm | – | 6 | 望遠レンズを使用しない制御 |
iPhone6s | 2015年9月 | 8 | 8cm | – | – | – | 6.5 | |
ZenFone3 | 2016年6月 | 5 | 9cm | – | – | – | 7 | 自動露出が遅い |
iPhoneXR
機種名 | 発売時期 | 順位 | 広角 | 超広角 | 望遠 | 超望遠 | 評点 |
iPhoneXR | 2018年10月 | 5 | 8.5cm | – | – | – | 7 |
Pixel 7a
機種名 | 発売時期 | 順位 | 広角 | 超広角 | 望遠 | 超望遠 | 評点 |
Pixel 7a | 2023年5月 | 2 | 10cm | AF非搭載 | – | – | 8.5 |
Pixel 7aは非常に近距離撮影の性能が高いスマートフォンです。
超広角レンズはオートフォーカス非搭載のため、近距離撮影はメインの広角レンズが担うこととなります。
画素数が6400万画素と高画素センサーを搭載している強みを活かし、デジタル5倍までは極めて高精細な写真が撮影できます。
流石にデジタル8倍では画質のアラが大きくなるため、実用的ではありませんので、実用域としては5倍までとなります。
Galaxy S23 Ultra
機種名 | 発売時期 | 順位 | 広角 | 超広角 | 望遠 | 超望遠 | 評点 |
Galaxy S23 Ultra | 2023年4月 | 2 | 8cm | 2cm | 20cm | 42cm | 8.5 |
広角レンズによるマクロ撮影が極めて優秀です。
超広角レンズにもオートフォーカスが搭載されているため、デジタルズームを使わない場合は超広角レンズが最も最大撮影倍率が大きいですが、被写体に影が映り込んでしまったり、超広角ゆえの歪みが大きいため、超広角によるマクロ撮影は実用面でイマイチです。
よって、広角レンズとデジタルズームを組み合わせたマクロ撮影が最も現実的です。
広角レンズとデジタル5倍までの組み合わせであれば、画質の低下も殆ど見られません。
一方、望遠レンズ、超望遠レンズについては、Aiによる補正が強くかかるため、写真の質感が低下します。精細感は保てていますが、色味がおかしなことになっています。
余談ですが、8倍までは広角レンズとデジタルズームを組み合わせることができますが、これを超えると、強制的に望遠レンズに切り替わります。
AQUOS R6
機種名 | 発売時期 | 順位 | 広角 | 超広角 | 望遠 | 超望遠 | 評点 |
AQUOS R6 | 2021年6月 | 8 | – | 17cm | – | – | 6 |
AQUOS R6はマクロ撮影は苦手と言えます。
画質自体は悪く有りませんが、超広角レンズしか搭載されていないため、最大撮影倍率が他のスマホよりも大きく見劣りします。
デジタルズームの最大倍率は6倍ですが、補正が強めにかかるため、写真の質感が低下します。
また、AQUOS R6は露出の制御がイマイチで、フルオートで撮影した場合、光が強く当たっている箇所が盛大に白飛びします。
AQUOS R6はマニュアルモードが備わっているので、そちらで意図的に露出を下げれば適正な露出にになりますが、ダイナミックレンジが狭いのか、明暗がはっきりし易いです。
iPhone13 Pro
機種名 | 発売時期 | 順位 | 広角 | 超広角 | 望遠 | 超望遠 | 評点 |
iPhone13 Pro | 2021年9月 | 5 | 15cm | 2cm | 50cm | 7 |
iPhone13 Proは広角レンズ、望遠レンズとも焦点距離の割には最短撮影距離が他のスマホよりも長いため、積極的にソフトウェア制御が介入し、自分の意志で使いたいレンズを選択することが非常に難しいです。
近距離画質としては必要十分ではあるものの、PixelシリーズやGalaxy S23 Ultraと比べると解像感に劣ります。
また、望遠レンズについては最短撮影距離もさることながら、画質が結構絶望的で、ソフトウェア処理により色味が大きく狂っています。
Galaxy S23 Ultraも似たような傾向にありますが、iPhone13 Proの望遠レンズによる接写画質は、実用性がかなり低いと言えます。
Pixel6 Pro
機種名 | 発売時期 | 順位 | 広角 | 超広角 | 望遠 | 超望遠 | 評点 |
Pixel6 Pro | 2021年10月 | 1 | 10cm | AF非搭載 | 85cm | – | 9 |
5000万画素をフルに生かしたマクロ撮影は圧巻の一言でした。
スペック上はGalaxy S23 Ultraの2億画素のデジタルズームの方が優れているはずですが、実写においてはPixel6 Proの方がわずかに画質に優れているように思います。
Pixel6 Proは超広角レンズによるマクロ撮影ができないですが、先述した通り超広角レンズによるマクロ撮影は影が映り込みやすいため、広角レンズを使うシーンが多くなります。
望遠レンズについては、見ての通り、最短撮影距離、画質ともに実用性は低いです。
Pixel 5
機種名 | 発売時期 | 順位 | 広角 | 超広角 | 望遠 | 超望遠 | 評点 |
Pixel5 | 2020年10月 | 4 | 9cm | AF非搭載 | – | – | 8 |
Pixel 5はセンサーが古く、サイズも小さいですが、画質はしっかりしています。
写りの傾向としてはPixel6 Proと同系統で、流石に画素数が少ないためか、デジタルズームにおける画質低下は免れませんが、僕の見た限りではiPhone13 Proよりも綺麗に撮影できているように思えます。
Xperia 1(初代)
機種名 | 発売時期 | 順位 | 広角 | 超広角 | 望遠 | 超望遠 | 評点 |
Xperia 1 | 2019年6月 | 8 | 9cm | AF非搭載 | 29cm | – | 6 |
Xperia 1を6点とした理由は、デジタルズームを併用しても最大撮影倍率が低いためであり、画質そのものについてはPixel6 Proに見劣りしていません。
むしろ、写真全体の質感としては比較機種の中でも最も優れているとすら感じます。
「写真」を意識したSONYらしい絵作りですね。
iPhone6s
機種名 | 発売時期 | 順位 | 広角 | 超広角 | 望遠 | 超望遠 | 評点 |
iPhone6s | 2015年9月 | 7 | 8cm | – | – | – | 6.5 |
iPhone6sは若干色ノリが悪いという印象です。
Aiによる過度な補正はされていないため、ナチュラルな色合いには交換が持てますが、センサーサイズが小さいためか、どこか平面的な画作りに感じてしまいます。
ZenFone3
機種名 | 発売時期 | 順位 | 広角 | 超広角 | 望遠 | 超望遠 | 評点 |
ZenFone3 | 2016年6月 | 5 | 9cm | – | – | – | 7 |
意外に善戦したのがZenFone3です。
色乗り、質感ともに良好で、iPhone13 Proにも見劣りはしないように思います。
被写体までの最短撮影距離は9cmと一般的な値ですが、古いスマホのため、焦点距離が長めであり、結果として低いデジタル倍率でも比較的高い最大撮影倍率となりました。
最大倍率ではこれだけ被写体を大きく写せるにも関わらず、デジタル4倍であるため、無理な引き伸ばしをしていないことも画質の良さに貢献していると思います。
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