かつて世間を騒がせた初代Xperia 1。
発売から4年たった今、あらためてそのカメラ性能について徹底的に検証していきたいと思います。
結論から言うと、今買える中古端末で最も費用対効果が高いスマホではないかというのが僕の感想です。
これから細かくレビューしていきますが、カメラ性能は「最強クラス」ではないものの、テスト項目によっては最新のGalaxy S23 UltraやPixel 7a、iPhone13 Proを上回る性能を見せます。
それでは、詳しく見ていきましょう!
Xperia 1(初代)の基本スペック
機種 | SONY Xperia 1 | |
発売時期 | 2019年6月 | |
(標準広角) | 画角 | 26mm |
画素数 | 1220万画素 | |
F値 | F1.6 | |
センサーサイズ | 1/2.55型 | |
画素ピッチ | 情報求む | |
備考 | 0 | |
超広角 | 画角 | 16mm |
画素数 | 1220万画素 | |
F値 | F2.4 | |
センサーサイズ | 1/3.4型 | |
画素ピッチ | 1900年1月 | |
望遠 | 画角 | 52mm |
画素数 | 1220万画素 | |
F値 | F2.4 | |
センサーサイズ | 1/3.4型 | |
画素ピッチ | – | |
インカメラ | 画角 | 情報求む |
画素数 | 800万画素 | |
F値 | F2.0 | |
センサーサイズ | 1/4.0型 | |
画素ピッチ | – | |
最短撮影距離 | 広角 | 9cm |
超広角 | AF非搭載 | |
望遠 | 29cm | |
超望遠 | – |
機種名/機能 | Xperia 1 |
保存アスペクト比 | 4:3、16:9、1:1 |
タイマー | 3秒、10秒 |
マニュアル撮影 | ○(広角レンズのみ・MF時ピーキングなし) |
スローモーション | ○(広角レンズのみ) |
タイムラプス | × |
ポートレートモード | ○(望遠レンズ使用時のみ) |
パノラマ撮影 | ○(広角レンズのみ) |
ナイトモード | × |
顔認識AF | ○ |
追尾オートフォーカス | ○ |
スマイルシャッター | ○ |
タッチシャッター | ○ |
トップショット(バースト撮影) | × |
フラッシュ | ○(ライトモード付き) |
360度写真 | × |
RAW撮影 | × |
その他 |
テストチャート上の解像度
広角
超広角
望遠(光学2倍)
Xperia 1(初代)の解像度は2023年8月時点の他社ハイエンド端末と比較しても決して劣っていません。
むしろ、広角レンズに関しては、画質に定評のあるPixel 7aや、iPhone13 Proよりも解像度は高いです。
総合力では最新のハイエンド端末には劣るものの、4年前の端末とは思えない解像力の高さを見せてくれました。
また、望遠レンズについても非常に優秀で、テスト中最高の解像度を誇ったGalaxy S23 Ultraと全くの互角です。
残念ながら超広角についてはオートフォーカス非搭載のため、テストチャートでの解像度テストはできませんでした。
これは意外。Xperia 1シリーズとはいえ、4年も前の機種なのにカメラの解像度は現役選手以上とは。。。
カメラセンサーとレンズの相性がすごくいいんだろうね。
Xperia 1(初代)のセンサーサイズは1/2.5型程度だからGalaxy S23 Ultraの1/4程度のセンサー面積しかないはずだけど、結果として解像度はXperia 1が上回ってる。
暗所画質
暗所での画質についても、Xperia 1(初代)は結構頑張っていると思います。
解像感についてはiPhone13 Proと比較してもほとんど差はないように見えます。
ただ、色味が多少緑がかっているのは若干残念なところで、センサーが小さいことや画像処理エンジンが4年も前の古いものということも影響しているのかもしれません。
あと、Xperia 1(初代)は夜景モードが搭載されていないので、長時間露出による高画質化はできません。このあたりは当時のハイエンド端末とはいえ、旧世代機ならではですね。
確かに最新のハイエンド端末と比べると、色味がおかしいように感じるけど、比べない限りはわからないレベルだね。
それはそうかも。
普通はこんなたくさんのスマホ並べて比較しないからね。
日中屋外での画質(ズーム倍率別)
日中の画質に関しては、ズームをしない限り最新のGalaxy S23 Ultraとくらべても差という差はありません。
むしろ、Xperia 1(初代)は必要以上に画質の補正が入らないため、色味なども肉眼で確認したものに近く、不自然さがないことから、非常に好感が持てます。
逆に、いわゆる「映える」写真を望まれている方には物足りないかもしれませんね。
ズームについては、光学レンズとしては2倍までなので、それ以上に拡大する場合はデジタル処理による擬似ズームとなります。
望遠カメラの画素数が1200万画素と決して大きくはないため、デジタルズームによる画質劣化は流石に目立ちます。
ズームを多用する方にとっては使い勝手はイマイチといえますね。
夜間屋外での画質(ズーム倍率別)
夜間の明暗差の大きいシーンではXperia 1(初代)は明確な弱点が出てきます。
それは露出の制御と、白飛び・黒つぶれの補正です。
このあたりは流石に最新のハイエンドと明確に差が出る部分で、ライトの光が強く当たっている部分は非常に白飛びしやすく、逆に暗く映る部分は黒く潰れてしまっています。
また、ズーム倍率を上げるにつれて、ハイライト部分が飛びやすくなります。画像を見るとエラいことになってますよね。
これが起きる原因は、
①ズームすることで手ブレがしやすくなるため、カメラ側は手ブレを抑えるためにシャッター速度を上げようとします。
②シャッター速度を上げるためにはISO感度を上げなければなりませんが、今度はISO感度が高くなりすぎて、明るい部分が白飛びしてしまう
こういうわけですね。
Galaxy S23 UltraやiPhone13 Proが同様の状況にならないのは、これらの機種は手ぶれ補正の性能が高いことから、ISO感度をそれほど上げなくても良いこと、そして撮影した写真の白飛び、黒つぶれ部分をAIが認識し、部分的な露出補正をしているからでしょう。
こういった部分はソフトウェアの進化とともに性能が向上していく部分が大きく、4年前のソニーの技術ではそういったことができなかったんでしょうね。
映える夜景の撮影には向かないですね。Xperia 1(初代)は。
最短撮影距離とマクロ撮影の画質
最短撮影距離 | 広角 | 9cm |
超広角 | AF非搭載 | |
望遠 | 29cm | |
超望遠 | – |
Xperia 1の広角レンズは被写体から9cmまで寄ることができます。
広角カメラとしては平均的な最短撮影距離であり、このこと自体は大した問題ではないのですが、これ以上に被写体を大きく撮影しようとした場合、Xperia 1には大きな弱点があります。
まず、超広角レンズにAFが搭載されていないことです。
これにより、カメラを近づけて撮影倍率を上げることができません。
また、望遠レンズの最短撮影距離も29cmと比較的長いため、広角レンズ使用時よりもさらに撮影倍率が低くなります。
よって、被写体を大きく撮影するためにはデジタルズームを使う以外の方法がないわけですが、Xperia 1(初代)は広角レンズの画素数が1200万画素と低いこと、さらには倍率を上げると必然的に最短撮影距離が長い望遠レンズが自動的に使用されてしまうため、とにかく撮影倍率を上げることが難しいです。
↑のサンプル画像をご覧いただければ分かるとおり、最大倍率の10倍を使っても、大して大きく撮影できません。これは最短撮影距離が長い望遠レンズがベースとなっているからです。
1インチセンサーで超広角レンズのみのAQUOS R6よりは大きく写せますが、かなり古い端末であるZenFone3やiPhone6sよりも遥かに撮影倍率が低いことは、使い勝手の悪さに直結します。
シングルAF(顔認識)速度(明るい場所)
シングルオートフォーカスは、かなり遅いです。
これだけ遅いと、咄嗟の撮影に対応することは難しいと思います。風景撮影などじっくり撮影できる場合は問題ないですが、子供の写真など突然訪れるシャッターチャンスにはかなり弱いと言えますね。
フォーカス精度については瞳AFを搭載しているだけあって、100%ジャスピンです。
シングルAF(顔認識)速度(暗所)
Xperia 1(初代)の暗所AF結構絶望的です。
ピントも合いませんし、撮影の都度、謎の処理が入り、その間はスマホを動かすことができないなど、撮影のテンポが極めて悪いです。
撮影のテスト環境はかなり暗いシーンであるため、もう少し明るいシーンであればAFは合いますが、2016年に販売されたZenFone3ですらある程度使えるレベルあることを考えると、4年前のハイエンド端末としては物足りない結果と言えますね。
シングルAF(物体認識)速度(明るい場所)
Xperia 1(初代)の物体認識AFはフォーカスポイントを自動選択とする場合、ピント位置の選択が若干不安定です。
基本的には最も被写体との距離が短いモノに対してフォーカスしますが、偶に背景側にフォーカスを合わせてしまうこともあります。
顔認識によるオートフォーカスのときは、瞳AFが発動してピント精度は100%正確でしたが、物体の場合はかなり精度が落ちる結果となりました。
また、オートフォーカス速度については、↑のGIFをご覧のとおり、あまり速くありません。2016年発売のZenFone3と同等程度の速さで、若干ストレスを感じるかもしれませんね。
シングルAF(物体認識)速度(暗所)
なかなかに厳しい結果となりました。
暗所での顔認識AFテストと同様、撮影時に謎の処理が入るため、撮影のテンポも非常に悪いです。
撮影された写真については、被写体にピント合わせがされておらず、かといって背景にもピントが合っていません。
唯一ピントが合っているのが写真上方のラックの棚部分ですが、これはピントを合わせたというよりは、たまたまその距離にフォーカスポイントが来ていただけという感じがします。
また、写真自体も全体的に非常に暗く写っており、シャドウ部を持ち上げるわけでもないため、実質撮影後の写真は全く処理されていないものと思われます。
Xperia 1(初代)は非常に暗い場所での撮影には極めて向いていないと言えます。
動体オートフォーカス性能
動体へのオートフォーカスは、ある程度距離があればかなり精度もよく、連続撮影も比較的スムースに動作します。
少なくとも、オートフォーカスの迷い等によりシャッターが切りたいタイミングで切れないということはほとんどなく、この点においては最新のGalaxy S23 Ultraよりも使い勝手が良いと言えます。
ただ、被写体の速度が速い場合はある程度近距離撮影になった時点でほぼ確実にピントが間に合わないため、動きの激しい被写体には向いていません。
単写(シングルAF)でも、基本的な傾向は変わらず、ゆっくり動く被写体であればある程度の追従性能を見せますが、高速で動く被写体にはピントが追いつきません。
高速動体(シャッターボタン連打)
低速動体(シャッターボタン連打)
高速動体(シングルAF)
低速動体(シングルAF)
背景ボケ(ポートレートモード)
Xperia 1(初代)にはポートレートモードが搭載されていますが、実用性は正直微妙なところです。
微妙な点としては、まずボケ量の調節幅がかなり小さく、他端末と比べるとほとんど暈すことができません。
また、ボケの量が距離に応じて適切に変化していないという難点もあります。要は、フォーカスした被写体だけを鮮明に描写し、背景として判定された部分はほぼ一緒くたにボカされる感じです。
一方で、GooglePixelシリーズとは異なり、メインの被写体は撮影者が意図的に選択することができます。要はAIが勝手にメインの被写体を判断したりはしないということですね。
オートで撮影する場合は基本的に顔認識ができて且つ、最も距離が近い被写体を選択するイメージです。
手ぶれ補正
Xperia 1(初代)の手ぶれ補正は年式なりといった感じです。
決して効きが悪いとは言いませんが、Galaxy S23 UltraやPixel6 Proと比べるとかなり劣ります。
2015年発売のiPhone6sと同等レベルで、2019年発売のハイエンドモデルとして考えると、もう少し頑張ってくれても良かったのかなと思います。
ただ、このテストは現実的にはありえないくらい大きく揺らしていますので、実際の使用ではそれほど問題になることはないです。
美肌補正
J9110 (4.26mm, f/1.6, 1/60 sec, ISO200)
お肌がかなり白めに写ります。
色乗りが悪いのか、意図的に顔が白くなるよう補正しているのか、どちらなのかはわかりませんが、美肌を意識した写りになっているという印象です。
人の肌の写りについては個人の好みですので、僕がとやかくいうことはありません(笑)
動画におけるオートフォーカス追従性
Xperia 1は動体に対する動画AFはかなり良いです。
静止画においては決して優秀とは言えないフォーカスレベルでしたが、動画における動体AFは最新の端末を差し置いて、Xperia 1(初代)の方が追従性が高いという結果となりました。
余談ですが、Pixel 5も同様に非常に良い結果となっています。
このことから考えられるのは、動画における連続的なAFは、被写界深度が深めのカメラの方が優位であるということかもしれません。
センサーサイズが大きいスマホカメラは被写界深度が浅いため、どうしてもピンボケしやすくなります。その点、Xperia 1(初代)やPixel 5のようにセンサーサイズが小さいカメラを搭載した端末は、被写界深度が深いですから、それが今回のテストのようなシーンでは有効に働いた可能性がありますね。
高速追従性
低速追従性
夜間の動画撮影における明るさ・手ぶれ補正・オートフォーカス比較
肉眼で視認したものと同じくらいの暗さで映っており、これについては意図的に現実に寄せているのか、映像処理能力が低いことにより暗く映っているのか、判断が難しいところです。
これまでのテスト結果を見る限り、後者っぽい気はしますが、何にせよ、必要以上に明るく映らないのは利点と捉えることもできそうです。
また、オートフォーカスはしっかりと動作しており、ピンボケ状態になることはありませんでした。
メニュー画面
AQUOS R6の作例
※画像クリックで拡大します。
J9110 (5.95mm, f/2.4, 1/640 sec, ISO125)
J9110 (4.26mm, f/1.6, 1/4000 sec, ISO64)
J9110 (1.97mm, f/2.4, 1/400 sec, ISO40)
J9110 (4.26mm, f/1.6, 1/8000 sec, ISO64)
J9110 (4.26mm, f/1.6, 1/200 sec, ISO64)
J9110 (5.95mm, f/2.4, 1/640 sec, ISO40)
J9110 (4.26mm, f/1.6, 1/2000 sec, ISO64)
J9110 (4.26mm, f/1.6, 1/10 sec, ISO320)
J9110 (4.26mm, f/1.6, 1/125 sec, ISO160)
J9110 (4.26mm, f/1.6, 1/8 sec, ISO800)
J9110 (4.26mm, f/1.6, 1/15 sec, ISO200)
J9110 (4.26mm, f/1.6, 1/60 sec, ISO125)
J9110 (4.26mm, f/1.6, 1/6 sec, ISO800)
J9110 (4.26mm, f/1.6, 1/60 sec, ISO250)
まとめ
Xperia 1(初代は)、執筆時点で発売から4年が経過しており、中古市場でも1万円台〜で入手することができます。
カメラの性能は、いくら当時のハイエンドといえど、2023年現在で言えばミドルレベルの性能というのが正直なところです。
あらゆるシーンで綺麗に写すことは難しいものの、日中や明るい屋内であれば写真の写りとしては全然綺麗ですし、ブラインドでGalaxy S23 Ultraと比較しても判断がつかないなんてことも十分ありえます。
カメラ性能を重視して中古アンドロイドをお探しであれば十分すぎるほど「アリ」な端末だと思います。
また、端末本体のスペックとしても、Antutu(Ver9)で50万点前後のスコアと、今売れに売れているPixel 7a(70万点前後)と比べても極端に性能が低いわけでもありません。
普段遣いも十分でき、かつカメラも2023年現在のミドルクラス程度の性能、更には中古で程度が良いものでも2万円程度で入手可能とかなりおススメできるスマートフォンだと思います。
これ、結構掘り出し物っすね。
そうだね。これで価格が中古で5万円とかだと正直微妙だけど、2万円なら全然アリだと思う。
端末自体のスペックもそこそこ高いし。
Xperia 1Vがめちゃくちゃ高くなってしまって、手が届かないし、そもそもスマホに20万円も出す気がしないから、これはいい選択肢だなー。
コメント