ピクセルシリーズはPixel6a以降、急激に勢力を伸ばしてきたGoogle純正スマートフォンです。
中でも、今回レビューするPixel 5はGoogleTensor搭載前であるため中古市場でもあまり注目されておらず、カメラ性能がかなり高レベルでありながら中古価格が2万円〜と非常にコスパの良い端末となっています。
カメラ性能については一言で言えば、「ほぼハイエンド」です。
最新のPixel 7aと比べると劣る点もあるものの、項目によっては7a以上の性能、さらには20万円クラスのGalaxy S23 Ultraよりも優れている点がいくつもあります。
総合的なカメラ性能で最高の端末ではありませんが、非常に使い勝手の良い仕上がりとなっているので、これからそれらについてレビューしていきます。
Pixel 5の基本スペック
機種 | Google Pixel 5 | |
発売時期 | 2020年10月 | |
(標準広角) | 画角 | 27mm |
画素数 | 1220万画素 | |
F値 | F1.7 | |
センサーサイズ | 1/2.55型 | |
画素ピッチ | 1.4μm | |
備考 | 0 | |
超広角 | 画角 | 16mm |
画素数 | 1600万画素 | |
F値 | F2.2 | |
センサーサイズ | 情報求む | |
画素ピッチ | 1.0μm | |
望遠 | 画角 | – |
画素数 | – | |
F値 | – | |
センサーサイズ | – | |
画素ピッチ | – | |
インカメラ | 画角 | 24mm |
画素数 | 800万画素 | |
F値 | F2.0 | |
センサーサイズ | 情報求む | |
画素ピッチ | 1.12μm | |
最短撮影距離 | 広角 | 9cm |
超広角 | AF非搭載 | |
望遠 | – | |
超望遠 | – |
機種名/機能 | Google Pixel 5 |
保存アスペクト比 | 4:3、16:9 |
タイマー | 3秒、10秒 |
マニュアル撮影 | △(露出・シャドウ調整のみ) |
スローモーション | ○(広角レンズのみ) |
タイムラプス | ○(すべてのレンズ) |
ポートレートモード | ○(広角カメラ使用時のみ) |
パノラマ撮影 | ○(広角レンズのみ) |
ナイトモード | ○(すべてのレンズ) |
顔認識AF | ○ |
追尾オートフォーカス | ○ |
スマイルシャッター | × |
タッチシャッター | × |
トップショット(バースト撮影) | ○(すべてのレンズ) |
フラッシュ | ○ |
360度写真 | ○ |
RAW撮影 | ○ |
その他 |
テストチャート上の解像度
広角
超広角
望遠(デジタル超解像2倍)
Pixel 5はセンサーサイズは小さいものの、広角レンズの解像度についてはかなり良好な結果となりました。
iPhone13 Proと比べても同等以上であり、世代の新しいPixel6 ProやPixel 7aと比べても同じく同等以上の性能です。
超広角レンズについてはオートフォーカス非搭載のため、テストチャートによる解像度チェックはできませんでしたが、後述する風景画像を見る限り超広角についても最新機種と遜色ありません。
こうしてみると、最近のスマホカメラってほとんど進化していないというか、解像度は頭打ちって感じなんだね。
そうだね。スマホのカメラの場合、レンズのサイズに大きな制約があるから、いくらセンサーサイズを大きくしても、解像度に関しては向上させるのが難しいのかもしれないね。
暗所画質
Pixel 5は暗所画質も比較的良好です。
特にナイトモードをONにした場合の画質が優秀で、これはカメラのハード面というよりは、ソフトウェアによる処理が優秀である結果であると思います。
特筆すべき点は、色味が崩れないことです。
暗所に弱いスマホは、多くの場合ホワイトバランスが崩れますが、Pixel 5はしっかりと元の色を捉えていることがわかります。
日中屋外での画質(ズーム倍率別)
日中の屋外での画質は、正直最新のハイエンド端末とほとんど変わりません。
ズームした際には光学のズームレンズが搭載されていないPixel 5は引き伸ばし写真になってしまうため、画質は落ちてしまいますが、それでもデジタル3倍程度まではそれほど画質の低下を感じることもないと思います。
夜間屋外での画質(ズーム倍率別)
夜間の画質については、iPhone13 Proとほぼ同等の性能です。
Galaxy S23 Ultraと比べると、ハイライト部分の白飛びが激しいですが、2019年のハイエンド端末であるXperia 1(初代)よりは適切に制御されていますし、普通に画質として綺麗であるといえます。
最短撮影距離とマクロ撮影の画質
最短撮影距離 | 広角 | 9cm |
超広角 | AF非搭載 | |
望遠 | – | |
超望遠 | – |
Pixel 5の広角レンズは最短5cmまで近づいて撮影することができるので、小さなものでもある程度の大きさで撮影することができます。
デジタル3倍ズームまでは、一定の画質が担保されていますので、記録写真としての用途であれば、その役割は十分果たしてくれると思います。
なお、Pixel 5は超広角レンズにオートフォーカスが搭載されていないため、iPhone13 ProやGalaxy S23 Ultraのような超接写はできないので、そこは注意が必要です。
シングルAF(顔認識)速度(明るい場所)
Pixel 5の顔認識シングルAFはかなりスムースに動作します。
速度に関しては流石に最新のGalaxy S23 UltraやiPhone13 Proには劣りますが、ピクセルシリーズの最新機種7aと同等の速度で合掌します。
精度に関してはほぼ100%ジャスピンで、文句ない性能です。
シングルAF(顔認識)速度(暗所)
低照度環境下におけるPixel 5のオートフォーカスは、速度はともかく、精度がイマイチです。
これはPixel6 Proも同様の結果となっています。
一方で最新のPixel 7aについては、精度が劇的に向上しています。
かなり暗めの場所での撮影シーンが多い人にとっては、Pixel 5はあまりおすすめできません。
シングルAF(物体認識)速度(明るい場所)
Pixel 5の物体認識オートフォーカスはかなり高速です。
テスト時点ではこれよりも速いのはGalaxy S23 Ultraのみで、ピクセルシリーズ最新のPixel 7aやiPhone13 Proと同等の速さです。
ピント精度もほぼ正確で、稀にピントが抜けることもありますが、普通に撮影する分にはまず外すことはありません。
シングルAF(物体認識)速度(暗所)
暗所での物体認識AFについては、速度は最新鋭の端末とそれほど変わらない(やや遅い)のですが、ピント精度は残念なことになっています。
今回のテストではジャスピンはおそらく1枚もありません。
もっとも、完全にピントが抜けているというわけではなく、「ややピンボケ」という状態の写真になるというイメージです。
Pixel6 ProやPixel 7aではピント精度が改善されていますので、やはりPixel 5は暗所は不得意ということになりますね。
動体オートフォーカス性能
Pixel 5の動体へのオートフォーカスはかなり優秀です。
なんと、後発で上位機種のPixel6 Proよりも精度が良いです。最新のPixel 7aにはやや劣ります。
精度が良い理由はセンサーサイズが小さいことからくる、ピントの厚みによるものかもしれませんが、現実的に失敗写真が少ないというのは大きな強みと言えます。
高速動体(シャッターボタン連打)
低速動体(シャッターボタン連打)
高速動体(シングルAF)
低速動体(シングルAF)
背景ボケ(ポートレートモード)
Pixel 5のポートレートモードは、Pixel6 Proと同様に最前面の被写体以外にフォーカスさせたい場合に、コントロールが暴れます。
それが顕著に出ているのがサンプル画像2段めの左右の画像です。
2段目左の画像は真ん中のシャンクスに、2段目右の画像は左側の冨岡義勇にタップでフォーカスををあわせましたが、ボケ処理において勝手に最前列の右側(宇髄天元)にピントを合わせようとし、結果見事に3名全員がピンボケ状態になっています。
つまり、Pixel 5のポートレートモードはソフトウエア制御により、こちらの意図に関わらずメインの被写体(顔)として最前面にある顔に反応してしまうということです。
また、被写体と背景の距離感を考慮したぼかし量に調節されないのも残念な点です。
被写体が1名でかつ、最前面にいること。これがPixel 5におけるポートレートモードの撮影条件ということになりますね。
手ぶれ補正
Pixel 5の手ぶれ補正はかなり優秀です。
手ぶれ補正のテストでは、iPhone13 ProやGalaxy S23 Ultraを上回る良好な結果を叩き出すことができました。
Galaxy S23 Ultraとは異なり、シャッターを切る前のフレーミングを行っている時点では補正されませんが、結果として出力される写真はいずれも見事に手ブレが補正されていました。
ピクセルシリーズは全体的に手ぶれ補正のテスト結果が良好ですので、これはグーグル自体の手ぶれ補正技術が優秀ということになると思います。
美肌補正
Pixel 5 (4.38mm, f/1.7, 1/25 sec, ISO83)
Pixelシリーズは共通して過度な美肌補正は行わない傾向にあります。
Pixel 7a、Pixel6 Proと比較して、写りとしてはほとんど同じです。
動画におけるオートフォーカス追従性
Pixel 5の動画における動体AFは、遠くから迫ってくる被写体に対しては、非常に素晴らしい追従性を見せます。
これはテストした端末の中で最も優れた結果であり、ほぼ完璧なフォーカシングを実現しています。
高速追従性
低速追従性
夜間の動画撮影における明るさ・手ぶれ補正・オートフォーカス比較
若干現実よりも明るく写る傾向にあります。
手ぶれ補正については、作品づくりをするには効きが不足していますが、記録用途としては、十分な効果を発揮しています。
また、オートフォーカスについてもピントを外すことはなく、全体としては無難にまとまっているといった印象です。
メニュー画面
Pixel 5の作例
※画像クリックで拡大します。
Pixel 5 (4.38mm, f/1.7, 1/2900 sec, ISO55)
Pixel 5 (4.38mm, f/1.7, 1/1500 sec, ISO44)
Pixel 5 (2.22mm, f/2.2, 1/1900 sec, ISO43)
Pixel 5 (4.38mm, f/1.7, 1/4700 sec, ISO54)
Pixel 5 (4.38mm, f/1.7, 1/23000 sec, ISO55)
Pixel 5 (4.38mm, f/1.7, 1/1800 sec, ISO48)
Pixel 5 (4.38mm, f/1.7, 1/80 sec, ISO49)
Pixel 5 (4.38mm, f/1.7, 1/30 sec, ISO47)
Pixel 5 (4.38mm, f/1.7, 1/50 sec, ISO167)
Pixel 5 (4.38mm, f/1.7, 1/25 sec, ISO530)
Pixel 5 (4.38mm, f/1.7, 1/25 sec, ISO102)
Pixel 5 (4.38mm, f/1.7, 1/25 sec, ISO94)
Pixel 5 (4.38mm, f/1.7, 1/5 sec, ISO1241)
Pixel 5 (4.38mm, f/1.7, 1/25 sec, ISO81)
Pixel 5 (4.38mm, f/1.7, 1/100 sec, ISO48)
まとめ
Pixel 5は2020年発売の比較的新し目の端末です。
ただ、GoogleTensorを搭載前の端末であるため、Antutu(ver.9)で40万点弱と同性能帯でいえばXperia 10 Vと同等レベルの性能と3Dゲームを快適に遊ぶには力不足感は否めなません。
ただ、カメラに関しては、最新のスマートフォンと同等以上の性能を持っている点も多々あり、2023年時点のハイエンド端末に近い性能を持っていると言えます。
また、Antutuで40万点近い性能があればSNSやYou Tubeなど動画視聴を中心とする使い方であれば十分快適に動作するでしょう。
中古端末市場価格は、2023年8月時点で2〜3万円ほどで、まだ発売からそこまで年数も経っていないため、程度の良いタマがゴロゴロしています。
低予算でカメラを重視した端末をお探しであればPixel 5、かなりおススメです。
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