1インチセンサーを搭載した理論上画質最強のスマートフォン、AQUOS R6を徹底検証したので、レビューしていきます。
この記事を書いている時点でAQUOS Rシリーズは8Proが出ていますので、R6はやや古い機種にはなりますが、カメラのハードウェア的には最新機種に劣っていないはずなので、AQUOS Rシリーズの購入の参考になれば幸いです。
で、早速R6のカメラの総評を述べますが、一言でいうと、
「めちゃくちゃ扱いにくいカメラ」
です。
ハマれば中々の高画質を叩き出してくれますが、雑に撮影した場合はミドルレンジ以下の画質すら怪しいというギャンブルみたいなスマホです。
一眼レフの世界で言えば、Galaxy S23 UltraやiPhoneがキャノンやニコンの一眼で、AQUOS R6はSIGMAという感じですね。
それでは個別に見ていきます。
AQUOS R6の基本スペック
機種 | SHARP AQUOS R6 | |
発売時期 | 2021年6月 | |
(標準広角) | 画角 | – |
画素数 | – | |
F値 | – | |
センサーサイズ | – | |
画素ピッチ | – | |
備考 | ||
超広角 | 画角 | 19mm |
画素数 | 2020万画素 | |
F値 | F1.9 | |
センサーサイズ | 1/1.0型 | |
画素ピッチ | 1900年1月 | |
望遠 | 画角 | – |
画素数 | – | |
F値 | – | |
センサーサイズ | – | |
画素ピッチ | – | |
インカメラ | 画角 | 27mm |
画素数 | 1260万画素 | |
F値 | F2.3 | |
センサーサイズ | 情報求む | |
画素ピッチ | 1900年1月 | |
最短撮影距離 | 広角 | – |
超広角 | 17cm | |
望遠 | – | |
超望遠 | – |
機種名/機能 | SHARP AQUOS R6 |
保存アスペクト比 | 3:2、4:3、16:9、1:1 |
タイマー | 5秒、10秒 |
マニュアル撮影 | ○(MF時ピーキング有、Jpeg撮影限定) |
スローモーション | × |
タイムラプス | ○ |
ポートレートモード | ○(1.4倍相当のデジタルズーム固定) |
パノラマ撮影 | × |
ナイトモード | ○ |
顔認識AF | ○ |
追尾オートフォーカス | × |
スマイルシャッター | × |
タッチシャッター | × |
トップショット(バースト撮影) | |
フラッシュ | ○ |
360度写真 | × |
RAW撮影 | ○ |
その他 |
テストチャート上の解像度
広角(デジタル超解像1.4倍)
超広角
望遠(デジタル超解像2倍)
AQUOS R6の写真の解像度は、流石に良いです。iPhone13 Proと同等程度の性能を持っています。
しかし、1インチセンサーを搭載していることを考えると、物足りなさを感じるのも正直なところです。
もっとも、写真の解像度はセンサーサイズの大きさに比例するものではなく、センサーやレンズ、画像処理エンジンの総合的なバランスで決まってくるものなので、1インチセンサーにふさわしいレンズを搭載することが難しいスマートフォンの限界なのかもしれません。
事実、キャノンのフルサイズ一眼レフよりもセンサーが小さいPanasonicのマイクロフォーサーズで撮影した写真のほうが解像度が高いなんてことは、よくある話です。
よって、解像度に期待してAQUOS R6を選ぶことはおすすめできないってことになります。
センサーサイズが大きければ大きいほど高精細な写真が撮れるわけではないってこと?
そういうことだね。
解像度はセンサーサイズよりもレンズ性能に依存する部分が大きいから、スマホに搭載するような小さいレンズでは1インチセンサーを活かしきれないのかもしれないね。
暗所画質
AQUOS R6は暗所でも十分綺麗に撮影できますが、R6よりもセンサーサイズが小さなGalaxy S23 UltraやiPhone13 Pro、Pixelシリーズと比べて、優位性は殆どありません。
むしろ、パッと見の画質はGalaxy S23 UltraやiPhone13 Proにも劣っているようにも見えます。
これはAQUOS R6の問題というよりは、他社のハイエンド機のノイズ処理が優秀で、かつAIによる補正が強く入るため、結果としての写真に差が出ないということだと考えます。
ただ、拡大して見てみると、その評価は変わります。
画像をクリックして拡大して見ていただきたいのですが、一見Galaxy S23 Ultraの方が全てにおいて綺麗に見えますが、細部の描写や色の変化がきちんと残っているのはAQUOS R6の方で、Galaxy S23 UltraはAI補正の際にのっぺらな感じに修正されています。
こういった点は大型センサーを搭載しているAQUOS R6に軍配が上がる部分です。
まぁ、拡大して写真を見る人がどれだけいるかはわかりませんが。。。
え?なにか違う?全然わからないよ
確かにほぼイチャモンみたいなもんだよね。
実際のところ、Galaxy S23 Ultraの方が全体としては綺麗に見えるしね。
日中屋外での画質(ズーム倍率別)
AQUOS R6は超広角レンズのみの単眼カメラなので、画質に拘った撮影をするなら超広角一択です。
カメラ撮影時は1倍モードというのものがありますが、これはデジタル解像ズームを行っているに過ぎないので、当然画質が劣化しています。
では、この超広角レンズ、写りはどうなのか・・・というと、↑のようなシーンでの撮影では画質的なアドバンテージはほぼありません。
センサーサイズが大幅に小さいPixel 5(推定1/3型程度のセンサー)の超広角の写りと比較してみます。
これをさらに部分拡大します。
AQUOS R6の方が画素数が大きいので、等倍拡大したときの倍率が異なりますが、ご覧の通り、1インチセンサーのアドバンテージはほぼ無いです。
これはPixel 5を褒めるべきと捉えることもできますが、やはり1インチという大型センサーに期待している以上、はっと驚くような高画質を期待してしまいます。
夜間屋外での画質(ズーム倍率別)
夜間の撮影では、1インチセンサーのメリットが見えてきます。
1倍以上の写真はデジタルズームを使用しているため、画質については論じませんが、超広角で撮影した写真は流石に綺麗です。
わかりやすい例を挙げるならば、暗部の描写ですね。
カメラモンスターのGalaxy S23 Ultraと比べてみましょう。
ピンクで囲った部分を拡大します。
細部の描写については、Galaxy S23 Ultraはノイズが多く、ディテールも崩壊しかけていますが、AQUOS R6は一定の画質を保っています。
このように1インチセンサーは条件が厳しいシーンにこそアドバンテージを発揮するわけですね。
もっとも、等倍拡大して画質を比較しない限り明確な利点を感じられないのは、やはり惜しいところです。
最短撮影距離とマクロ撮影の画質
最短撮影距離 | 広角 | – |
超広角 | 17cm | |
望遠 | – | |
超望遠 | – |
AQUOS R6の超広角レンズは最短撮影距離が17cmほどと、マクロ性能は要らないと言わんばかりのスペックです。
Galaxy S23 Ultraと比較すると、AQUOS R6の6倍ズームとGalaxy S23 Ultraの2倍ズームが同じくらいの撮影倍率です。
また、露出制御がイマイチ微妙で、デジタルズーム無しで撮影した場合、光が強めに当たっている部分が白飛びしてしまっています。
おそらくは背景の黒色に引っ張られて、露出を上げる制御がなされていることが原因かと思いますが、顔認識でフォーカスポイントは認識されているのであれば、ピントを合わせている部分を基準に露出制御してほしいところです。
逆にデジタルズームをした場合は露出がきちんと制御されていることからも、フルオートで撮影した場合は描写範囲全体を露出の決定基準としていると考えられます。
このことからも、AQUOS R6はマクロ撮影を重視していない端末と言えると思いますね。
シングルAF(顔認識)速度(明るい場所)
シングルAFについては、かなり高速な部類に入ります。
iPhone13 Proと同程度の速度・精度を誇っており、センサーサイズが大きいことによる被写界深度が浅いを考慮すればかなり健闘していると思います。
敢えて気になる点があるとするならば、オートフォーカスの速度が微妙にバラつくことですかね。
めっちゃ早いときもあれば、一拍おいて合焦することもあるので、そのあたりはiPhone13 ProやGalaxy S23 Ultraなどの長年スマホカメラを磨いてきた両者と比べると安定感に欠ける部分です。
シングルAF(顔認識)速度(暗所)
AQUOS R6、何故か暗所のオートフォーカスに強いです。
僕の当初の想像では、合掌しないで終わるのでは?と思っていたのですが、意外や意外、ピントも合うし、しかもかなり速いという予想外の結果となりました。
↑の動作中の様子を見ていると、フォーカスポイントが定まるまでバタついているようにも見えますが、結果を見る限りは優秀な暗所AFと言えますね。
シングルAF(物体認識)速度(明るい場所)
顔認識によらないオートフォーカス速度も顔認識有りの時と同様の速さがあります。
ただ、他の多くの端末は、顔認識時の方が合焦速度が速いのに対し、AQUOS R6は顔認識の有無とわず、どちらも同じくらいの速度で合焦します。
若干気になるのが、顔認識ではない場合、ピントマーク(フォーカスポイント)が中央固定になることです。
実際は最もカメラに近い部分にピントが合うので、一見「ん?」ってなるんですが、これは改善してほしい点ですね。
R7以降はフォーカスポイントの表示が出るようになっているので、アップデートで対応してくれると嬉しいですが、2世代前の端末に最新の端末と同等の機能をもたせるようなことは、商売的には厳しいでしょうね。
シングルAF(物体認識)速度(暗所)
顔認識有りの場合とほぼ同様の結果となりました。
合焦もきちんとしてくれますし、速度もiPhone13 ProやGalaxy S23 Ultraと変わりません。
ただ、先程明るい場所でのオートフォーカスの際にも述べた通り、フォーカスポイントの表示が固定のため、ピントをどこで合わせているのか、目視で確認しなければならないのが難点です。
動体オートフォーカス性能
AQUOS R6のオートフォーカスはこれまでのテストをご覧の通り、シングルAFはほぼ問題がありません。
問題は動きモノです。
高速で動く物体だけではなく、ゆっくり動く物体に対してもピント精度がかなり悪いです。
また、連続しての撮影についても、フォーカスがついて来ず、シャッターを切りたいタイミングで切ることができません。
不規則に動き回る子供の写真とかはかなりつらいと思いますね。これ。
高速動体(シャッターボタン連打)
低速動体(シャッターボタン連打)
高速動体(シングルAF)
低速動体(シングルAF)
背景ボケ(ポートレートモード)
AQUOS R6のポートレートモードはかなり良好な制御がされています。
複数の被写体、複数の顔を認識しても、タップ操作により指定した被写体を的確に認識し、背景の対象となる部分の処理が行えていますし、距離に応じて背景のボケ量も調整されています。
また、メインの被写体と背景となる部分の分離もおおよそ正確です。
被写体によって背景処理(ボケ処理)されずにそのままになっている部分も散見しますが、そういう場合でも、基本的に目立たない部分のみが処理漏れとなっているため、注意して確認しないと気づかないです。
AQUOS R6のポートレートモードは、総じて背景処理については優秀と言えますね。
手ぶれ補正
手ぶれ補正については、AQUOS R6は苦手な分野と言えそうです。
AQUOS R6の場合、今回のようなケースではシャッタースピードが1/100秒に設定されるのですが、手ブレの影響で写真がボケている感じがしますよね。
一方で同じように1/100秒の制御がされるGalaxy S23 UltraやiPhone13 Proでは、AQUOS R6ほどの手ブレは発生しません。
決して手ぶれ補正能力が低いとまでは言いませんが、他社フラッグシップにはまだ及んでいないというのが現実のようです。
せっかく1インチセンサーを採用しているのですから、高感度性能の高さを活かしてシャッター速度を1/400秒にするなど、手ぶれ補正の弱さをシャッター速度でカバーすればよいのではないかなと個人的には思います。
ちなみに、Pixel 5やPixel6 Proは手ぶれ補正でカバーしきれないと判断した場合、1/400程度までシャッター速度を上げて撮影されます。
AQUOS R6も実用上は十分な手ぶれ補正能力を持っていると言えますが、厳しい環境下だと他端末に遅れを取るかもしれません。
また、手ぶれ補正が強く働くようなシーンでは、露出制御がきちんと機能しないようで、↓の作例を見ていだけるとわかるとおり写真が白飛びしています。
こういう詰めの甘さは今後メーカーとして詰めていっていただきたいところですね。
美肌補正
SH-M22 (6.85mm, f/1.9, 1/100 sec, ISO283)
肌については無理に補正するようなことはなく、比較的現実主義なイメージです。
若干、肌が白っぽく写っている感はありますが、違和感はないレベルです。
動画におけるオートフォーカス追従性
静止画においてかなり厳しい結果となった動体オートフォカスですが、動画においては比較的良好に機能しています。
決して安定感のあるオートフォーカス制御では有りませんが、子供の動き回る姿を追うことはなんとかできそうです。
高速追従性
低速追従性
夜間の動画撮影における明るさ・手ぶれ補正・オートフォーカス比較
Galaxy S23 UltraのAI補正により写りは抜群に良いです。手ぶれ補正もかなり優秀です。
テスト撮影した場所は、実際はもっと暗く、左半分はほとんど真っ暗な道なのですが、補正によりかなり明るく写っているため、静止画同様にリアリティ重視の方には扱いにくいかもしれません。
Galaxy S23 Ultra全体として言える話ですが、記憶より記録を重視した方向性に振っている感がありますね。
メニュー画面
AQUOS R6の作例
※画像クリックで拡大します。
まとめ
すごい辛口な感じになってしまいましたが、AQUOS R6はネット上で酷評されているほど悪い機種ではありません。
Galaxy S23 UltraやiPhone13 Proなどの一部フラッグシップ機と比較すると、悪い部分が目立ちますが、世に出ているスマホ全体で見れば平均以上の性能はあると思います。
ただ、このAQUOS R6は1インチセンサーを搭載し、カメラ性能をウリにしているスマホのため、期待値が非常に高くなっていることから、ガッカリ感が強く、結果酷評に繋がっていると思います。
お手軽にパシャパシャ撮影するような使い方ではその良さが引き出しにくいって感じですね。
今回の検証ではAQUOS R6の性能を100%引き出すことはできませんでしたが、1インチセンサーという強力なハードを備えているため、しっかりとした準備、労力をかけてあげればスマートフォンとは思えない写真が撮れるはずですし、実際にインターネット上には本機で撮影した素晴らしい画像がアップロードされています。
万人受けうするスマホではないですが、ここぞというときは一眼カメラのサブ機としての素質を備えている・・・それがAQUOS R6というスマートフォンなのだと思います。
僕のようにスマホの設定とかカメラの仕組みとか、そういうことを気にしない人にはおすすめできないって感じですか?
要はそういう感じ。15年くらい前のPENTAXの一眼レフと似てるかな
それ、もっとわからないです。
コメント